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エンジンの歴史

カレラGT

エンジンと工場


 アウディ製ポルシェ

初めに登場した924はアウディ100のエンジンをベースにした物をフロントに積み、 アウディのNSU工場で組み立てられました。
元々アウディ用にポルシェが開発を進めはじめたスポーツカーが、紆余屈折しVW−アウディのパーツを利用しNSU工場で組み立て、ポルシェ社から販売することになったのが924なのです。
その為、ポルシェ初の前置き水冷エンジンと言う事もあってポルシェではないポルシェのように言われます。

しかし、これはイメージ的な物で実際にはレベルの低いマシンではありません。
NSU工場と言ってもアウトウニオン、DKWと合併して後のアウディAGになる前はNSUと言う自動車メーカーだったのですから。
NSU Ro80 と言う車はバンケル2ローターを搭載しカーオブザイヤーを受賞しているくらいです。

968はポルシェ工場でボディーも組み立てられます。

 924のエンジン 1976(1977)年

エンジンはポルシェ初の水冷エンジンですが、アウディ100のエンジンをベースにしています。
VWアウディ−スポーツ計画では新開発アウディ直列5気筒エンジンを積みたかったのですが時間切れで100ベース改になりました。
ブロックは鋳鉄製、ヘッドはアルミ製で燃焼室は無く、ピストンが凹んだアウディと同じ構造です。
しかしそれはそのまま搭載したわけではありません!
ボアアップし1760ccから1984ccへ排気量を増やし、バルブの駆動方式もOHVをコッグドベルト式SOHCに改造して搭載したのです。
カムはバルブに付いているタペットキャップを直接押します。
燃料供給はボッシュKジェトロ、点火はフルトラ(日本/US)です。タイミングはコッグドベルトです。
クランクさえ別物で全般的に手が入りポルシェオリジナルに近いくらいの変更が行われています。
ベースのアウディ100のエンジン自体、元々右へ傾いて搭載されていたので、低重心とボンネットの低さに貢献しています。
直後、アウディ100に924とほぼ同じエンジンが載るので・・・924はエンジン外観や工場だけでなくアウディ搭載のエンジンとなった。

−−アウディ100−−
1968年、アウディ80(馬力から命名)/スーパー90のエンジンを1クラス上のボディに積んだのが初代100です。縦置き4気筒FFです。
エンジンはダイムラーベンツ設計スワール型燃焼室の4気筒OHV 1760ccです。
100(80PS),100S(90PS),100LS(100PS)のラインナップでした。

1976年、100は2代目になります。上位機種は直列5気筒を搭載します。SOHC 2144cc(136PS)。右へ傾いています。
これこそが924にも積むべきエンジンでしたが、後にターボ装着でアウディクワトロにも搭載されます。
なんと、中位機種には逆に924と同じエンジンが積まれます!
違うのは924のKジェトロではなくツインチョークキャブレターである点です。
SOHC 1984cc(115PS/5500rpm,9.3:1)、4MT。
一番下のグレードには80のSOHC 1588cc(85PS)が積まれます。これは右へ35度傾いています。

3代目は軽量空力ボディになり、Cd値0.30

 924ターボのエンジン 1979(1980)年

ポスト911を担って924のハイパワーバージョンが追加されました。
本国仕様では911SC、928をもしのぐ2L級世界最強最速マシンの登場です。KKK K26タービン。ウエストゲートバルブ装備。
当時、排ガス規制を受けた中で有利なはずの国産車よりはるかに優れた性能を持っていました。
エンジンの大幅なパワーアップは駆動系、シャシー、空力、全てを抜かりなく強化しています。
エンジンはターボ化によるピストンやヘッドの変更だけではなく、スパークプラグの差込口が反対の吸気側に移るなど、アウディ100とはもはや完全に別物のエンジンになっています。
オイルクーラー、オイルセパレーター(レースのオイルキャッチタンクを高性能にした物)も装備されました。
そして924ターボのエンジンはポルシェ工場でのみ組み立て生産されていました。
一般には944でやっとポルシェエンジンを得たことになっていますが、924ターボエンジンはポルシェ製エンジンと言って過言ではありません!
しかも、ミッションもポルシェ製を搭載します。油圧式クラッチも同時に採用されます。
サージタンクにPORSCHEロゴがある以外に鋳造の配管には924TURBO文字も入ります。スロットルの中には大小2枚のバタフライが並びます。

1981年、DITC(デジタルイグニッションタイミング)制御になります。タービンも小型化されレスポンスアップ。

−−−欧州1979:170HP/5500rpm,25.0kg-m/3500rpm [M31/01]
−−−日本1980:150HP/5500rpm,21.0kg-m/3500rpm [M31/02]
−−−欧州1981:177HP/5500rpm,25.5kg-m/3500rpm [M31/03]
−−−日本1981:160HP/5750rpm,21.4kg-m/3500rpm [M31/04]

 カレラのエンジン 1981年

カレラGTにはインタークーラーも装備され、GTS、GTRとそれぞれパワーアップされました。
ピストンはカールシュミット製鍛造ピストンになります。
GTRはボンネットのエアスクープ下にはインタークーラーはなく、ノーズにあります(笑
944LMにはDOHCターボが搭載されたようです。

−−−GT :210HP/6000rpm,28.5kg-m/3500rpm [M31/50]
−−−GTS:245HP/6250rpm,33.7kg-m/3500rpm [M31/60]
−−−GTR:375HP/6400rpm,

 944のエンジン 1983年

基本からポルシェ設計製造のエンジン登場です。オールアルミエンジンです。
928のV8片バンクを利用して作った2479ccのエンジンで40度傾けて搭載。ヘッド周りには同じ部品が多数使われています。
100mmと言うビッグボアの4気筒ながら、バランサーシャフトを搭載して振動を打ち消しています。
制御はボッシュDME(DEE)式です。
水冷オイルクーラーは熱交換器としても利用でき、ヒーターのスタンバイはもの凄く早い性能も得ました。
エンジン特性はフラットトルクで乗りやすいものとなり、排ガス、燃費共に素晴らしいエンジンです。
944は924の後継ではなく、924ターボの後継なので924ターボ同等以上のエンジンになっています。

1988年式は圧縮比アップなどでカタログ上は160HPですが、実際は140HPです。FQSをハイオク用にセットする必要があります。
1989年式は2688ccになりましたが1年限りで終わりました。

−−−欧州:163HP/5800rpm,20.9kg-m/3000rpm,10.6:1 [M44/01][M44/03]
−−−日本:155HP/5000rpm,20.2kg-m/3000rpm,9.5:1 [M44/02][M44/04]
−−−1988:160HP/5900rpm,21.4kg-m/4500rpm,10.2:1 [M44/09][M44/10]
−−−1989:165HP/5800rpm,22.9kg-m/4200rpm,10.9:1 [M44/11][M44/12]

 944ターボのエンジン 1985(1986)年

普通のターボ車とは異なりインテーク側にタービンを配置し、エキゾーストはクラッチの近くを横切ってインテーク側に向かいます。
その為タービンまで十分に距離があり、ターボなのに4in2in1と言うNA車のような配管を完成させました(デメリットも多々あるが)。
大形インタークーラーも装備されました。
NAモデルに対しシャシーも空力も大幅に強化されました。オイルクーラーは水冷の熱交換器から普通の空冷オイルクーラーに戻りました。
エンジン特性はどっかんターボです。

1988年のターボS及び1989年以降のターボではタービンの大型化などでパワーアップしました。

−−−220HP/5800rpm,33.6kg-m/3500rpm [M44/51]
−−−250HP/6000rpm,35.6kg-m/4000rpm [M44/52]

 944Sのエンジン 1987年

DOHCの928Sが登場し、944にもDOHC16バルブヘッドが乗せられ944Sが登場します。
シャシーは944Bとほぼ同じままです。

−−−190HP/6000rpm,23.5kg-m/4300rpm,10.9:1 [M44/40]

 944S2のエンジン 1989年

ボア・ストローク共にアップし2990ccになり、気筒あたり約750ccと言う排気量になりました。
DOHCとは言え高回転高出力型ではなく、巨大なトルクと柔軟さが特徴のエンジンです。
共鳴効果により排気量以上の空気を吸い込み過給され、ここでも比類無いトルク曲線を描いています。
外気取り入れ口は正面(ターボのインタークーラー位置)にあります。

1989年、1990年式は、FQS調整すると若干レスポンスが良くなります。
1991年式は同じカタログ値ですがインマニやDMEが変わっており、レスポンスが良くなっています。

−−−211HP/5800rpm,28.6kg-m/4000rpm,10.9:1 [M44/41]

 968のエンジン 1992年

バリオカムと言う可変バルブ機構を採用し、6MT又はティプトロと組み合わされました。
極低回転ではトルクが細い感じです(特にMTとの組み合わせ)。バリオカムの切り替わりで伸びます(思った程ではないが)。
洗練され新時代的な存在でしたが'92-'95と言う短命に終わりました。

−−−240HP/6200rpm,31.0kg-m/4100rpm,11.0:1 [M44/43][M44/44]

 968ターボのエンジン 1993年

968と同じ2990ccながら944ターボと同じくSOHC8バルブヘッドを採用していました。
インタークーラー、エアフィルターなど、944ターボと外観や一部部品は同じです。

−−−S :305HP/5600rpm,51.0kg-m/3000rpm
−−−RS:337HP/


ボディエンジンミッション
924アウディ製アウディ製アウディ製(除く'79)アウディのネッカー工場で生産。
931アウディ製ポルシェ製ポルシェ製('80)エンジンはほとんど別物でポルシェ社工場組み立て!
944アウディ製ポルシェ製アウディ製エンジンだけがポルシェエンジンになった。
968ポルシェ製ポルシェ製ゲトラグ社製(6MTは)ようやく911と同じ自社生産に。


 回転数

ポルシェは911をはじめとしてフラットトルクなエンジン特性を目指しています。
そして、レッドゾーンは 6400rpm 前後でしかありません(944S除く)。
特に大排気量4気筒と言う特徴もあるでしょう。

低回転数からトルクが立ち上がるエンジンが多いのですが、比較的最高トルク/最高出力発生回転数共に高いユニットも存在します。
DOHC化した944Sと、944/924Sで 10.2:1 のハイコンプになった1988年式と、バリオカムを採用する968です。
250HP の944ターボSと、後期ターボも高回転型の数値特性になっています。

意外な事に1988年式 M44/09 エンジンは高回転型なのですが、新車時のFQS位置のままだと燃調が濃くてパワーが出ません。

ミッションとトランスアクスル


 トランスアクスル

924系はフロントにエンジンを置くFR車ですが、普通とは異なりリアにデフと一体化したミッションがあります。
ミッションはデフと一体になっておりトランスアクスル構造となっています。
フロント車軸上にエンジン、リア車軸上にミッションが置かれます。
これによりリア加重が増え2400mmと言うショートホイールベースながら良好なトラクションを得る事が出来ます。
エンジンとミッションはトルクチューブという鋼管パイプでリジッドに結合されています。

 924のアウディー製ミッション

ミッションはアウディ100のをリアに搭載します。
このミッション、実はFF車の物で元々ミッションとデフが一体になっていました。
FF車とは言っても横置きではなく縦置きのFF車です。通常のFR車のような配置です。
縦置きエンジンがあってクラッチがあり、その出力軸はデフを乗り越えてミッションへ伝わり、真ん中のデフへと戻されてドライブシャフトへ出力されます。
縦置きFF車のトランスアクスルだからリアに移動することが出来たと言えます。

−−アウディ100−−
縦置き4気筒FF車であるアウディ100はエンジンミッションがFRと同じ配置で、途中にデフが入っている構造です。
1968年の100には4MTが採用されていて、924も同じく4MTが採用になります。
この仲間、アウディ80のトランスアクスルでは出力軸をさらに後方へ伸ばして4WDとし、アウディクワトロを作り出すことも出来たのです。

 ポルシェ製のミッション

5MTが搭載されます。そしてそれはポルシェ製ミッションです。
'79-924と'80-924TURBOとカレラにのみ搭載され、ローが左手前のレーシングパターンなのもこれだけなのです。
当然シンクロはポルシェシンクロが装備されポルシェテイストです。
特に924ターボSはポルシェ工場製エンジンとポルシェミッションと928のブレーキの組み合わせで最もマニアックなマシンです。
ポルシェ製エンジン+ポルシェ製ミッションなのは'80-924TURBOとカレラだけです!
このミッションはアウディ製とは異なり、ミッション部が前にあってデフが後方という合理的構造で、外観もアウディのFF用を利用した変なケースではなく専用設計であるためスッキリしています。
この事は、911やボクスターや944/968のようなエンジンの出力がデフを跨いでミッションへ行って戻って来る配置とは異なり、レーシングカーと同じように出力がストレートな配置であるという事です。
ポルシェシンクロ、レーシングパターン5速!ストレート配置、油圧クラッチ! ポルシェ史上最もマニアックで理想的な作りではありませんか。
ギヤ比も特異です。ターボ専用に1速を低めて過給重視に、5速を高く燃費重視という配置なのです。

 アウディ製5MTのミッション

'80-924と'81-924TURBO以降再び合理的では無いアウディ製に戻ってしまいます。今度は5MTではありますが。
ケースの前後がアルミ製で、中間を鉄製の部品で延長したような外観です。
(1980年クアトロ、1981年クーペ、1982年3代目100には5MTが採用されていますが同じ物かは不明)

944にもアウディ製5MTが搭載されます。日本仕様のミッションは'81-924TURBOの4速ギヤだけ少し変えてキャリーオーバーさせたものです。
ファイナルが低く、特に1速が低くいため伸びません。2000ccターボ用を低速トルクの厚いビッグボアNA用に転用する事に無理がありました。5速は高い。
944B/924Sは'88年モデルでミッションがヨーロッパ仕様に統一され、5速が低くなります。
FQS調整したら、944S2のミッションと載せ替えると良い感じになります。

 944ターボのミッション

ギヤ比は全てでクロスし、ファイナルが高い。

944Sは各段のギヤ比は944ターボそのままのクロスで、ファイナルだけ944と同じ数値に低くしたものです。最終減速比は944と同じです。

944Sは1〜4速が944ターボと同じで5速のみが高く、ファイナルは944と944ターボの間の数値です。

944ターボには空冷オイルクーラー(&ギヤポンプ)のオプションが設定され、'89年以降はノンスリ共に標準装備です。

 968のミッション

ゲトラーク製6MTになりました。S2の4速と5速の間に1速足した感じのギヤレシオです。ファイナルはS2より若干高い。
オプションのL.S.D.は、'92年式が機械式、'93年式がトルセン式の設定があります。

 ATミッション

AT車は924から968まで基本構造は同じです。
エンジンの後にATダンパー(フライホイールダンパー)と言うゴム円盤が入り、それからトルクチューブでリアへ出力されます。
リアに入り、トルコン、そしてATミッション、デフと動力が伝わります。
ATオイルは油温管理のためのオイルクーラーがフロントのラジエターに内蔵されそこまでオイルラインが通っています。
MT車のトランスアクスルと異なり、AT車のデフオイルは別になります。

 924/944AT

924はアウディ100の3ATをベースにしています。944も。ボルグワーナータイプです。

 968AT

968はティプトロニック4ATです。ZFとボッシュとの共同開発です。ZF製造なのかも?
(ZF製はパワステギヤボックスにも採用されています)
1990年式911Carrera2に初めて採用されました。基本構造はアウディV8用の派生です。
ティプトロニックは今までのATとは設計思想から異なり、スポーツカーのためのATと言えます。
Dレンジ的使い方の他に、隣のゲートに入れてマニュアル的にアップダウンさせる操作が出来ます。
前方に押して+(アップ)と言うのがこれ以後ATのマニュアルレンジのスタンダードになります(シーケンシャルは逆)
Tiptronic とは[傾ける]と[電子工学]を合わせた造語です。
5つのプログラムモードと学習機能があります。
マニュアルゲートだけではなく、Dレンジも革新的なのです。
加減速G、旋回G、走行速度、スロットルポジション、エンジン回転数、からのパラメーターでシフトプログラムを自動選択します。
コンピューターはリアトランクに搭載されています。

スタビライザーとトーションバー


 スタビライザー

フロントスタビは、20mm,21.5mmが中実、23*3.5mm,25.5*4mmがパイプスタビです。26.8や30もそうでしょう。
フロントスタビはAアームが鉄製用のグループとアルミ製用のグループがあります。
リアスタビはシリーズで全車互換性があると思います。'88年式以降は全車標準です。

 太さが細かく変わる

2000cc時代の924も細かくオプションの有無や太さが変わりました。
944S、951共に'89年式で944S2、後期ターボにチェンジすると共にスタビ径が変わります。
フロントが25.5mmから26.8mmに太くなり、リアスタビが18mmから細い16mmに変更されます。
リアのトーションバーが太くなった分、リアスタビを細めたのか、安定志向にしたのか?

ハンドリング


 ネガティブ・スクラブ物語

924系は「ネガティブ・スクラブによるステアリング反力の乏しさ」が当時のジャーナリストのレポートから印象深い項目だともいます。
さて、そのネガティブ・スクラブとは何か、他から引用して説明するとこうです。

スクラブ半径の値が+か−かと言うこと。
進行方向に車体を見て、ストラット上部とキングピン軸(ストラット式の場合下部ボージョイント)の仮想ライン(スイベル軸)をタイヤ接地面へ延長したポイントと、タイヤ接地面中心ポイントとの差、この数値のことです。

タイヤ接地面中心ポイントより延長線上のポイントが内側にある場合、ポジティブで、
タイヤ接地面中心ポイントより延長線上のポイントが外側にある場合、ネガティブです。

−−−−−

フロントで駆動するFF車と異なり、FR車はキャスター、スクラブ半径、キングピン角で復元性が左右されるので、
フィーリングを求める場合調整できないキングピン角以外のキャスター、スクラブ半径を調整することになると思います。

スクラブ半径はホイールをスペーサーなどで外側に取り付けるとポジティブになってゆきます。
オフセットが異なるホイールを装着しても変化します。
面一にしようとして外に出すとポジティブ側に数値が増えてハンドルが取られたりします。

924のフロントにはVW初代ゴルフのストラットとVW初代シロッコのロアアームが採用されますが両車ともネガティブスクラブです。

 924系の歴史

924がデビューした時の4穴ホイールの足回りの車はネガティブ・スクラブでした。
そのため復元力が少なく反力に乏しい印象を与えました。

924ターボSではブレーキ、ホイールと共に足回りが変わります。ゼロ・スクラブに近くなりました。リアはトレッドが広げられました。
そのため車庫入れ時にはノンパワステと相まって人間には据え切りできない重さになりました。

カレラGTと944、実は924ターボの足回り(ET53)に、ET23.3と言うオフセットの911用ホイールを履かせる事によってタイヤを外側に出しただけなのです。
ほぼゼロ・スクラブとなりました。違和感が減った代わり路面からのインフォメーションが減りマイルドなGTになりました。

944ターボは、ロアアーム類を前後ともアルミ製に一新強化されました。
スクラブ半径はついに+4mmのポジティブになり、'85/'86-951はベストハンドリングマシンと賞されます。

1987年、ABSのオプション装備と共に足回りとホイールオフセット(ET52.3)などが変わります。
そして再びネガティブ・スクラブに戻りました。
これはABS制動時の安定性の為で、前輪が滑りはじめるとある程度自然にステアリング修正をしたらしい(ORIGINAL PORSCHE 911より)
ネガティブの方が直進安定性、制動安定性が良くなるので安定したGT路線へ振った感じです。 1989年、944S、951共にスタビ径が変わります。フロントが太くなりリアが細く変更され粘りとさらに安定方向へ振られました。

ブレーキ


 日本車との違い

初期の924はVW流用部品でしたのでブレーキも、前:ソリッドディスク/後:ドラム と言う構成でした。
356の途中から4輪ディスクブレーキを採用したポルシェの中にあってこれはスペック的に見劣りしました。

924ターボSでパワーに見合うシャシーを与えられました。
911のベンチレーテッドディスクに928のブレーキキャリパーを4輪に装備したのです。
944もほぼこのブレーキを採用しました。

944ターボではついに911カレラを超すブレーキを与えられます。
ブレンボ製4ポッドキャリパーを前後に装備しました。
944S2、968にもこのタイプが採用されました。


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シャシーの考察へ

1981年Audi日本モデル(ヤナセ)


直列5気筒 SOHC 2144cc IC+TURBO

 200PS/5550rpm,29.1kg-m/3500rpm

クワトロ(ビッグクワトロ)−−−4WDクーペ

直列5気筒 SOHC 2144cc TURBO

 135PS/5400rpm,0.38br 924と同じようなK26タービン

200 5T(5ターボ)−−−FFセダン 

5気筒を納めるためラジエターはエンジンの前ではなく左側にオフセットして置かれます。

直列5気筒 SOHC 2144cc

 105PS/5100rpm,16.3kg-m/3000rpm (79.5*86.4) 8.2:1 右に傾けて搭載されている。

クーペGT5E−−−FFクーペ
80GL5E−−−FFセダン